空の殻

ゲームの感想とか。

【Steam】ゲームプレイ日記 #24【MECHANICA――うさぎと水星のバラッド――】

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 ――日常を愛してくれ、それが世界を救う。

 今回の感想は、同人サークルLoser/sさんより『MECHANICA――うさぎと水星のバラッド――』になります。

※本記事にはゲームのネタバレが含まれます。

 もともとdlsiteにて発売されていたゲームですが、Steamの方でも発売されるタイミングでプレイしました。Steam版は性的描写が抑えられていますが、パッチを当てることでR-18要素込みの完全版にアップデートできます。購入当初はアクセス集中でパッチがダウンロードできなかったため、ゲーム中盤からパッチを適用しました。イベントが結構バッサリカットされるので、完全版を最初からプレイした方がよかったと後悔。ただし、序盤は関係性が進んでいないので、セーフっちゃ、セーフ。ちなみに前作は未プレイです。

 内容については、3日後に宇宙が崩壊するから主人公とメカニカでループを繰り返し阻止するというものですが、それほどシリアスに傾倒しないのが、このゲームの魅力でした。3日で叶う恋もある 3日では何も変えられない、なんてキャッチコピーのゲームもありますが、このゲームでは、サイバーパンクな水星を散歩したり、住人の話を聞いたり、バーで演奏をしたり、時にはセクハラをしたり、またセクハラをしたりと日常を楽しむ過程がとにかく絶妙でした。キャラクター達が抱える悩みも、軽妙な距離感も、そこには、説教めいた言葉や過剰に努力を賛美する物語も無く、取り残されたこの町には優しさが溢れていました。もちろん、世界を救うという目的がありますが、お酒を片手にゆっくりとプレイするくらいが丁度良いのかもしれません。

 とはいうものの、日常だけでなく、全体を1つのシナリオとして見たときのクオリティもとても高いレベルだったと思います。SFらしい、綿密な設定の数々も想像をかき立てられますし、それらが繋がり、真実に近づいていく過程は非常にワクワクしました。 

 そして、多くのキャラクターが登場しますが、みな個性が強く、けれど魅力的で、彼らと育んだ絆が、愛がラスボスに立ち向かう力となるのは、ありがちですが、心が熱くなりました。主人公たちが日常を送る裏で、人知れず戦い続けたキャラクターたちもよかったです。桜色のうさぎ等、おそらく前作で登場したであろうキャラクターたちが、裏で主人公たちの力になっている展開って、改めてずるいなあって思いました。本当に好き。前作を先にプレイしておくべきでした。仕方がないので、後でプレイしようと思います。

 犯人はゲームのメタ的視点から、早めの段階で分かってしまったんですけど、これまた良いキャラしていてよかったです。誰が悪いだとか、何が正義だとか、そういう話ではなく、ただ相容れなかっただけで、最後までキャラを貫いていたのも好感でした。欲を言えば、もっと掘り下げが見たかったですが、上述したとおりの熱い展開で最高に面白かったです。それとインレさんのキャラデザめちゃくちゃ好きでした。アバターの面影が残っているのも芸術的。これも4億5000万の力か。

 でも、それを圧倒的な力で乗り越えるヒロイン力、いや愛の力のメカニカさん本当に好き。素手でドラゴンの首を千切り飛ばすところも好き。愛を囁くことでロイヤルが全回復するところも好き。なかなか嗜虐心をそそるようなキャラですが、唯一ループを共にするキャラであり、主人公を支え、時には支えられるような相棒感の強いヒロインでした。彼女に会えてよかった。

 ここまで書いてきたとおり、シナリオが素晴らしかった本ゲームですが、その雰囲気を作りあげたのは、間違いなく音楽とアートの力が大きかったわけで、時々入るイラストなんかは、珍しく大量にスクショしてしまいました。コンセプトアートとか、本当に美しいですよね。そして、本作メイン要素の一つである音楽もどれも素晴らしかったです。クリア後にMechanical SessionをYoutubeで聞いたんですけど、最高でしたね。

 総括すると、今年プレイした中で最も良い意味で期待を裏切ってくれた素晴らしいゲームでした。もっと早くプレイしたかったけど、とにかくこのゲームに触れられただけで満足。明日はふゆくるの発売日なので、それをクリアしたら『うさみみボウケンタン』の方も購入しようと思います。こういった同人の素晴らしいゲームに出会ったときっての感覚って形容しがたい嬉しさがありますよね。以上。