空の殻

ゲームの感想とか。

【PC】ゲームプレイ日記 #25【ふゆから、くるる。】

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※このゲームには18歳未満の方には不適切な表現が含まれています。また、本記事はゲームのネタバレを含みます。

 今回はシルキーズプラスさんより『ふゆから、くるる。』の感想になります。

 SF四季シリーズは個人的に思い入れがありまして、中でも、はるまで、くるる。はエロゲに触れ始めた頃に出会った思い出深い作品の一つです。冬音に恋してから、何度も季節は巡り、色々なことがありながら、ようやくの完結。そんなわけで、本作品を非常に楽しみにしておりました。

 本作品のジャンルはSFミステリとなっており、はるくるに近いです。ただし、これまでの作品に比べて一番まともにSFもミステリもしており、いい意味で驚きました。あらすじがシリーズ1ぶっ飛んでるのに、いざプレイすると過去1番まともで、素行の悪そうな見た目なのに、根はまともな人に出会ったような気分でした。

 宇宙がテーマで、針がどうやら鍵を握っていそうということで、プレイ前は超弦理論とか、一般相対性理論の話が出てきそうだな、とか思ってたんですけど、今回はそういう方向性ではなかったですね。過去作の感じから、世界が九次元で密室ではなかったぐらい言うと思いましたが、SF部分もミステリ部分も綺麗に纏まっていたと思います。トップ絵とはじまり方から、第四の壁を越えてくるんか? とか、色々想像してしまいましたが、そんなこともなく、優等生すぎてむしろ物足りなさを覚えてしまうほどでした。

 個人的に本作品はSF四季シリーズで最も洗練された物語であり、私の中での評価も高いんですが、評価は割れそうだなというのが、正直なところだと思います。

 というのも、人間原理の話が出てきたり、実存主義的な幸せがテーマっぽい感じで、ちゃんと読もうとすると一番難しかったというのと、これをテーマにしたせいでエンタメ的面白さが失われてしまっているところ、ボリューム不足気味というところが挙げられます。はるもなつもあきも、主人公が世界の真相を知ってしまったとき、そのうえで立ち向かう姿に胸を打たれ、心を熱くする展開があります。ただし、本作品にはそういったものに乏しく、エンタメ的面白さのピークは世界の真相を知ったときで、以降はエピローグのような起伏の小さな展開が最後まで続きます。√分岐もありません。テーマを考えれば、この終わり方も納得ですが、過去作を考えると物足りなさが残ってしまいます。また、人間ドラマという点でも、過去作より掘り下げに乏しく、キャラ同士の関係も好感度マックスなところから始まることが多いため、霜雪しほんに対する空丘夕陽の思いに共感出来ないというのは私も気になりました。そういった点では主人公よりも宇賀島ユカリだったり、月角島ヴィカの方が魅力的に映りました。Hシーンもとりねことヴィカのは好きですけど、いきなりラブラブな二人がイチャイチャしてるところを見せられてもAVを抽出したみたいであんまりでした。

 全体的に過去作よりも青臭さがなくなった反面、綺麗にまとまりすぎてしまったような印象を受けました。好みの話になってくるかもしれませんが、関係性の構築だったり、キャラの葛藤を感じるようなイベントがもっと見たかったなというのはあります。そして、面白かっただけに、ボリュームがもっと欲しかったというのが本音です。

 過去作で一番近いのははるでしょうけど、本質的なところは全然違う作品ですので、過去作をやってきた人ほど評価が分かれそうな感じです。とはいえ、誰がなんと言おうと私は良作だと思ってますし、本作を含めSF四季シリーズをすべてクリアできてよかったです。

 最後に、毒盛られた会長かわいそう。