空の殻

ゲームの感想とか。

【PC】ゲームプレイ日記 #17【9-nine-】

f:id:yozakura_shouyou:20210505102837p:plain

 R-18の方は未プレイで、今回は全年齢版の感想になります。

  この作品を知ったのは、確か2作品目のそらいろが発売されたころだったと記憶しています。各所で人気だったこともあり、無事に完結したら、すべてプレイしようと思っていました。とはいえ、それほど関心が強かったわけでもなく、後回しにしていたら、いつの間にやら全作品+新章を含めた全年齢版が発売されることに。

 そして先日、ついにプレイしたわけですが……、私は後悔しました。後悔といっても、ゲームがつまらなかったわけではなく、その逆でした。むちゃくちゃ面白かったです。なぜ、こんなに面白いゲームをもっと早くプレイしなかったのか。この作品のファンとして、次回作が出るのをわくわくしながら眠りに就きたかったです。

 プレイ時の第一印象は、相当お金かけてるなあ、でした。購入前から分かっていたことですが、スタッフが豪華すぎますね。にもかかわらず、全作品で質の高い楽曲を用意したり、本編とは関係ないところで惜しげもなくボイスを多用したりと大盤振る舞い。愛ちゃんのセーブしよー! が好きなので、こういうのはかなり嬉しいです。主人公にもボイスが存在し、もはや一切の妥協はありません。こうしたゲームにおいて、主人公に声はいらない、という意見もあるかもしれませんが、後述する二つの点により、このゲームでは絶対にボイスはあった方がいいと思います。それから、システム面も充実しており、ちゃんとシーンジャンプがあるのも好感です。

 人気作ということで、シナリオに対する期待も高かったですが、それを易々と超えてくるだけでなく、まさか、ここまでとは……と思うぐらいの出来でした。

 Episode1時点では、導入ということもあり、さほど盛り上がりもありませんでした。正直に言うと、そこそこ面白いけど、まあこんなものだよな、という感想でした。ヒロインも天とみゃーこ先輩以外にあまり関わりはなく、敵も見えてきません。主人公もあまり緊張感がなく、全体の雰囲気もどこか浮ついている。翔と天との掛け合いやみゃーこ先輩のかわいさで持っているようなものでした。ですが、これらはすべて必要な布石であり、クリア後に思い返すと感慨深いものがあります。キャストインタビューで阿部さんが語っていたように、突如、超常現象に巻き込まれた男子高校生としては、あれがリアルであり、その先で辛い経験を乗り越えてきたからこそ、彼の戦う意思には芯があるのだと思います。

 そして、Episode2。ここから、一気に面白くなりました。Episode2は、天ルートということで、二人の軽快なやり取りが多くなり、味方も敵も増えるので、かなり賑やかになり、幅も広がります。さらに、Episode1では見えてこなかった敵が顕在化し、翔だけでなく、天にまで危機が及び、シリアス度が高くなります。翔は戦う意味、大切なものを再確認しますが、そのうえであのバッドはかなりきました。シリアスなシーンでも、ふざける天が面白く、また、強がってでも普段通りであろうとする彼女にいじらしさを感じることもあり、天の魅力が詰まった章だったと思います。

 この時点で期待は十分に超えていたのですが、ここではまだ終わりません。それどころか、ずっと右肩上がりに面白くなってきます。

 Episode3。春風先輩は、リグ・ヴェーダ側だったこともあり、それまであまり好きではありませんでした。ですが、彼女にスポットライトが当たることで、それまで知らなかった彼女の魅力が津波のように押し寄せてきます。全ヒロインルートの中で、個人的に最も破壊力が高かったと思います。先輩の方がでけぇんだよ! メインの話の方も、進むにつれて新事実が明らかになっていき、まったく飽きることのない展開の連続でした。これまで以上にバトルシーンも増え、力を合わせてラスボスに立ち向かうところでは、かなり胸が熱くなりました。

 Episode4。Episode3で見え隠れしていた希亜のかわいさが爆発。ついでに高峰も。仲間との絆も深まり、打倒ラスボス。うっすらと予想できていましたが、あの演出は鳥肌ものでした。とにかく、世界の眼+オーバーロードが強すぎる。そして、あれほど絶望的な状況で心が壊れず、それでも信じて戦い続けた翔がそれ以上に強すぎる。これまでプレイしてきたゲームの中でもトップクラスの強さだと思います。元がエロゲーなんで、眷属化の設定を聞いたときに、これ絶対重要なやつやん、と思っていたら、そういう使い方をするのか、と少し笑ってしまいました。天がいつも通りなのもさすがです。大神のラストバトルと同じくらい負ける気がしませんでした。途中、私自身もラスボスに殺されそうになりましたが、無事にハッピーエンドを迎えられてよかったと思います。高峰有能。

 それから、素晴らしいシナリオにも決して食われることなく、キャラクター達が際立っていたのもすごいと思いました。シナリオ重視だと、どうしてもヒロイン間での好き嫌いがはっきりしてしまいがちですが、全員がここまで好きになれるのは珍しいと思います。息の長いゲームに大体共通していることは、キャラクターに魅力があることだと思っているので、ここまで人気があるのも納得です。

 本作品はシナリオのあらすじだけ辿ると非常にシリアスなゲームだと思いますが、実際にプレイすると、かなり明るい印象を受けます。これは、皆が場を和ませる力を持っているからだと思います。ヒロインで言うと、マイペースだったり、空気を読まな(読めな)かったり、思わぬギャップがあったり等々、愉快なキャラクター達のおかげで話が暗くなりすぎなかったのも、よかったと思います。

 それから、天で顕著ですが、翔にボイスがあるために他キャラクターとの掛け合いがより生きていたのも大きかったです。翔のボイスについては他にも、プレイヤーと画するうえで、うまく作用していたと思います。

 設定については、当初思っていた以上に独自の設定が多く、少し理解に窮するところもありましたが、新章で疑問もほとんど解消されました。まだ2つほど、ん? と思うところはありますが、2週目以降、また別の視点でじっくりと読み進めていきたいと思います。

 

 R-18の方は約1年前に累計25万本を突破したそうです。おめでたい!

 暗く、ディープな作品なら仕方がないですが、R-18とはいえ、万人受けしやすく、これだけお金と心血を注いだ質の高い作品が売れなくなったら終わりだと思っているので、9-nine-という作品がこれだけ売れたのは、単純に嬉しく思います。

 

f:id:yozakura_shouyou:20210505105741p:plain